以前,学生時代にお世話になったF先生に伺った話.
F先生は期末試験のためにある問題を作られたそうである.
ある大問の中に小問が三問含まれていた.
1問目は,基礎的な知識を問う問題.
2問目は,1問目を発展させた問題.
そして3問目は,少し難しい問題.
当然,F先生は問1, 2, 3の順で正答率が下がるものと思っていた.
しかし採点してみてびっくり.
最も正解率の高かった問題は3問目だったのである.
F先生がその理由を調べてみると,
実は3問目はよく似た例題が教科書中にあり,
学生たちはとにかくその問題の解き方だけを覚えていたということらしい.
問題の解き方とは,単に式の立て方にすぎない.
問題の本質的なことには触れず,とにかく解き方を覚える.
そうした勉強法で良いのかと,F先生はずいぶん嘆かれていた.
これは高校までの勉強方法に原因があるのではないかと思う.
受験勉強においては,問題の解き方を覚えることに重点が置かれる.
問題の本質などあまり問題にしない.
とにかく短時間で正確に解くことが要求されるのだ.
問題の裏にあるものなどを考えることは無駄,
いや受験においては害があるとさえ思われているのだ.
自然,受験勉強は機械的なものになっていく.
大学に入ってからも同じである.
学生たちのアンケートでは,
もっと演習をやってほしいと多く要望がでる.
もちろん,より理解を深めるためという目的もあるかと思うが,
それだけであれば,教科書内にも十分例題は載っている.
じっくりと解けば,理解できるように教科書はできている.
では,なんのために演習を要求するのか?
それは講義中に行われた演習と同様の問題が試験に出題される可能性が高いからという理由が多分にあるのではないかと思う.
それさえやっておけば点数の向上が期待できる.
とにかく楽をして単位を稼ぐことを考える学生が多い.
まぁ,仕方がないといえば仕方がないのだけれど,
それではいったい何のために勉強しているのかと不思議に思う.
学校に来る時間がもったいなくないのだろうか.
大学での勉強は,公式を覚えればよいというものではない.
実社会においてはそんな公式で解ける問題は他人に任せておけばよい.
公式の裏にある物理的な意味,電気的な意味,
そうしたことに考えが至らなければ大学で講義を受ける意味などないのではないか.
自分の興味がある分野だけはやるというのだろうか.
あるいは時期が来たら勉強を本気でやるというのだろうか.
どちらもあまり社会が欲しがらない人材であろう.
いろいろな分野の基礎的な勉強をし,
いま,ここから努力している学生を社会は求めているのだ.
こうした話になるといつもぼやいてしまうようだ.
ちょっと反省.
2007年7月27日金曜日
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