2007年7月30日月曜日

細心の注意を怠らない

選挙の結果のニュースに交じって,
ひとつ気になるニュースがあった.

あの「プロレスの神様」カール・ゴッチ氏が亡くなったそうである.
82歳.
もうそんな年だったのかと,
いや自分がずいぶんと年をとってしまったことに気づく.

私はプロレスファンというわけではないけれど,
ゴッチの名前くらいは知っている.
ジャーマンスープレックスの名手.
ドラゴンスープレックスホールドの創始者.
ずいぶんと職人気質の頑固なおじいさんだったらしい.

彼はコーチとしてこそ日本では有名であった.
猪木,藤波,藤原,佐山,前田,木戸,越仲...
もう綺羅星のごとくスターレスラーを育てている.
その指導は本当に厳しいものだったらしいが,
多くの生徒たちに慕われ続けていた.

そして勝負師としても一部でその強さは知られていた.
彼は徹底的に勝負にこだわった.
レスリングはチェスのような頭脳戦だと語っていたのだという.
彼は勝負における細かいことの積み重ねの重要さを知っていたのだと思う.

そんな彼の話で心に残っているものがある.
彼は彼は,くつひもを締めるのに20分をかけたのだという.
くつひもの締め具合ががその日の試合を左右することがある.
それを彼は身をもって知っていた.
どんなに強くても,細心の注意を怠らない.
プロフェッショナルだったのだ.

彼の弟子である藤原喜明がノートに書き留めたという言葉も素晴らしい.

「石屋はハンマーを磨き,大工はノミを磨く.
 君は身体を鍛えろ.なぜならば君はレスラーだからだ」
(うろおぼえ)

では,私は何を磨くべきか.




#彼は愛妻家でもあった.
しかし彼の奥さんは,確か少数民族の出身で,
彼女しか話せない方言などがあったそうである.
奥さんに先立たれてゴッチ氏はずいぶんと
元気をなくしていたという話は伝わっていた.
リングの上での雄々しさを知っているだけに悲しい話である.

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