プレゼンにおいて,意外に大切なのがアイコンタクトである。
発表者は,聴衆を無視して好きなところを
見続けて話していてはいけないのである。
したがって,スライドが映されたスクリーンを
ずっと見続けて話したり,
黒板だけを見続けて話したり,
まして原稿を手に持ってそれを読んでいたりしては
全くだめなのである。
会場の聴衆,あるいは面接官それぞれに目線を送り,
「あなた方にお話しさせていただいています」
とメッセージを伝えなければならないのである。
だから,ときどきは会場全体に目線を移したり,
あるいは面接官の方々の顔をぐるりと見たりする必要がある。
(もちろん,余裕をもった(でも不遜ではない)顔つきで)
たとえ聴衆が見えなくても,
(会場が暗かったりすると壇上から見えにくい時がある)
そこにいるものと仮定して,気遣いをする必要がある。
さて,人と話をするときにはどこを見て話せと習ってきただろうか。
多くの人は,「人の目を見て話せ」と教わったのではないだろうか。
しかし,私は
「人の目を見てはいけない」
と言いたい。
「目を見て話せ」と教わるのは,
アイコンタクトが大切だという教えなのだと思うが,
実際,相手の目を見て話してみればすぐにわかる。
非常に不愉快なのだ。
目には心の動きが現れる。
それをじっと見るということは,
相手の心をじっと見つめるということである。
だから,じっと目を見て話すのは,
尋問する場合とか,叱る場合とか,
強い立場のものが弱い立場のものに対するときなのである。
(私はそうした行為は嫌いだが)
例外として,恋人たちが目を見つめあうこともあるけど,
それは相手が何を考えているのか,
お互い探り合って安心しようとするからかもしれない。
私の稽古している武道においては,
相手の目を見てはいけない,と教わる。
氣力の強い人に,氣が吸収されてしまうからである。
結局,人間的な強さが大きい人と
じっと目を見つめあって話すことはできないのだ。
就職における面接試験においては,
対する面接官はだいたい人事のプロなどが同席することが多い。
現場でも部長クラスとなる。
そうなるとそうした対人力の強さは,学生の比ではない。
したがって,学生は面接官の氣に呑まれ,
しどろもどろの回答をしてしまうことになる。
では,どこを見て話せば良いのか。
「鼻のあたりをぼんやりと見ろ」と
私の稽古している武道では教わる。
やはり「目を見て話せ」というのが常識になっているのだから,
そうしないと失礼に思われてしまう。
だから,鼻のあたりを見るのである。
武道でなければ視線を外すことも少しならば許されるので,
目を見ても,適宜視線を外して会話を続けることは
OKなのかもしれない。
(しかし,その短時間のアイコンタクトで
相手に呑まれてしまう可能性はある)
プレゼンにおいて,アイコンタクトは
相手にちゃんと話を聞いていますよ,
話しさせていただいていますよ,
というメッセージを送るための重要な手段である。
必ずアイコンタクトをしながら発表しよう。
しかし,目を見つめてしまうと,
相手の氣に呑まれてしまう可能性もある。
だからぼんやりと鼻のあたりを見つめて,
相手にメッセージを送ろう。
相手に自分が見られている,と考えるのではなくて,
自分が相手を見ている,と考えるだけでも
心にずいぶんと余裕ができるものでもある。
(この教えも武道で教わったことの受け売りだけど)
2007年7月9日月曜日
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