先月の高知で開かれた
電気学会産業応用部門大会では,
電気自動車が10種類程度展示されていた.
(一部は試乗もできた)
実用に近そうに見えたのが
三菱自動車と電力会社数社によって
開発されているプラグイン電気自動車
「i MiEV」である.
現在しきりにTVコマーシャルも流れている.
プラグイン電気自動車というのは,
ガソリンなどを使用しない純粋な電気自動車であり,
電池に充電した電気で走る.
充電は,家庭用の単相100V,200Vや業務用の三相200Vの配線に
コンセントをつなぐことによって行う.
燃料電池車なども純粋な電気自動車に数えられるが,
これは内部に発電機関をもつのではなく,
電池に蓄えた電気で走るのである.
電池は最新式のリチウムイオン電池である.
現在,自動車に通常使われている鉛バッテリでは,
とても充電量が持たない.
ハザードランプを一晩中つけっぱなしにして,
バッテリが上がってしまい,
翌朝エンジンをかけることができない,なんて
話はよく聞く.
電気自動車は照明ではなく,
本当に電力を走行に使用するのだから
大変な充電量を必要とする.
i MiEVの仕様を見ると,
一回の充電で160km走ることができるのだという.
(ただし10・15モード)
実際にはその7割しか走らないにしても,
1日に100km程度しか車に乗らないのであれば,
十分と言えるレベルである.
最高速度も130km/hということだから,
こちらも街乗りであれば問題ない.
街乗りということであれば,
電気自動車は減速する際にモータを
発電機代わりに使用して,
電力を電池に戻す(回生)から,
ガソリン車よりも燃費は良いだろう.
そして,モータを使用するのだから,
低速でもトルクは大きいし,加速もいい.
騒音も少ないし(これはちょっと注意を要するが),
もちろん走行中に排気ガスは出ない.
本当に街乗りに適した車である.
ただ,心配なのが充電である.
充電には時間がかかるのである.
一晩,プラグをさしておく必要があるだろう.
i MiEVでは総充電量が160kWhとある.
また,充電については100V,15Aで
14時間必要と書いてある.
したがって,100*15*14 = 21kWhとなり,
総充電量の21kWh/160kWh *100% = 13%しか
使用していないことになる.
しかし,14時間は長い.
なので,200Vに接続して
7時間で充電を行うのが一般的になるだろう.
深夜に電力を使うことは電力会社にとっても
発電電力量の日較差を小さくすることになるし,
ユーザ側も安価な深夜電力を使用できることになり,
どちらも助かることになる.
21kWhといえば,昼間電力で470円程度
(1kWhあたり22円位),夜間電力で150円程度
(1kWhあたり7円位)である.
ガソリンが1リットル170円程度であることを考えると,
ランニングコストはずいぶん安くなりそうだ.
あとはイニシャルコストということになるわけだけれど,
これはまだまだ高そうである(たぶん電池が高そう).
最初の導入はたぶん業務用なのだろう.
家庭に導入されるのはまだまだ先かな...
でも,プラグインハイブリッド自動車という手がある.
これは,近距離だけだったら電気だけで走行し,
長距離になるとガソリンも使って走るもので,
電気はやはりプラグインなのだ.
アメリカ,EPRIの発表によれば,2050年で新車の60%を
プラグインが占めるようになっても,
その使用電力量は総発電量の7~8%にしかならず,
そのほとんどが夜間のオフピークに充電可能という.
これが普及するだけでも温室効果ガス削減に
非常に効果があるということである.
私たちの家庭には
たぶん,まずプラグインハイブリッド自動車が
やってくるのだろう.
そしてそれは,随分近い未来のことのように感じられる.
電池と半導体変換器が自動車の性能を決める時代が,
すぐそこにまでやってきているのである.
2008年9月18日木曜日
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