2008年12月3日水曜日

上野にて

先週の土曜日の話.
東工大に向かう前に,上野に寄った.
フェルメール展かレオナール・フジタ(藤田嗣治)展が
目当てだったのだけれど,
会期終了も近い週末,土曜日の昼ごろとあっては,
ひどい混雑で,どちらの展示会もあきらめることになった.
どこかの小説の主人公ではないけれど,
「やれやれ」と一言いう(笑).

仕方がないので,精養軒で昼食をとる.
ここで夏目漱石の「こころ」を読みながら
(残念ながら,現在読んでいるのは「三四郎」ではなかった)
ゆっくりと休もうか,と思ったのだけれど,
大変な混雑にうんざり.
文豪ゆかりの地というのでクラシックな雰囲気を
期待したのだけれど,
まぁ,昼時なので仕方がないという感じ.
今度,また空いているときにゆっくりしよう.

さて,ランチもそこそこに上野公園を歩くことにする.
精養軒前にある寛永寺の
大仏(といっても今は顔だけ)とパゴタに驚く.
遠くから見るとパゴタは,高圧トランスのように見える.
屋根の水煙みたいなものが,まるでブッシングだ.
中には,薬師如来,日光,月光菩薩が祭られているのだけど,
どこか電気的な感じ(笑).
ビリビリとご利益あるかも.

不忍池の周りを歩くと,いろいろなものがあって面白い.
実は結構な観光名所なのかもしれない.
今回は,東照宮を観た.
上野に東照宮があるなんて初めて知ったのだけれど,
日光と同様,左甚五郎作の竜の彫物があったり,
また建築時は極彩色であったろう装飾があったりして,
やはりそれは東照宮なのである.
もちろん,祭られているのは家康なのだけど,
その他に,吉宗,慶喜も祭られている.
本堂の内部も見ることができ,
獅子の壁画や鳳凰の彫刻などを見ているうちに
あっという間に時間が過ぎてしまった.
300年以上も前の建物なのだけど,
むしろ装飾はモダンな感じがした.

公園をまた駅の方に歩いていくと,
地方の物産展が開かれていた.
新潟の中越地方のものだった.
あの地震以来,暗いニュースばかりが続いていたのだけれど,
来年のNHKの大河ドラマが長岡市ゆかりの直江兼続が
主人公だということで,催されたらしい.

実は私は,長岡市に3歳から小学校4年生まで
暮らしていたので,ついつい懐かしくて
ふらふらと近づいていってしまった.
私の両親の出身も長岡市周辺の町だから,
寺泊,与板などのテントにも親近感を覚える.
地酒が売られていて,喉がゴクリとなったけれど,
じっと我慢.
あぁ,でも飲みたかったなぁ.

直江兼続はよく知らないけれど,
同じく紹介されていた河井継之助と小林虎三郎ならば
知っている.
長岡市では小学校3~4年生で
ふたりのことは郷里の偉人として良く学ぶのだ.

河井継之助といえば,司馬遼太郎の「峠」でも有名な,
幕末の越後長岡に軍事中立国家の建設を
夢見た男である.
この話をすると長くなるので,それはまた次の機会に.

小林虎三郎は,河井が破れて長岡が貧困に
あえいでいるときに,支家から送られた百表の米を,
建設していた学校のための教材購入などにあて,
長岡の復興の基礎を作った人である.
これは「米百俵」の話として知られる.

この二人の紹介パンフレットを読んで気づいたのは,
小林は51歳で,河合は42歳で亡くなっているということ.
若くして逝っているが,ふたりは自分の本分を全うしている.
振り返って自分を思う.
私は何をしてきたのだろうか.
いつもこの時期,それを思い,少し焦るのである.



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