2009年7月28日火曜日

正常化バイアス

北九州,西日本の豪雨の被害は
大変なものになっている.
心よりお見舞い申し上げます.

昨晩,ラジオのニュースで聞いたのだけれど,
人間は災害に対し,もともと逃げ遅れやすい
性質を持っているのだという.
これを正常化バイアスとか正常化の偏見とか呼ぶ.

私たちはついつい,
洪水警報や突風警報などが発令されていても,
ここはまだまだ大丈夫だと思ったり,
火災報知機が鳴っても,
誤動作かな,と思ったりしてしまう.
この心の働きを正常化バイアスと呼ぶのだという.

これは,私たちの日常生活において,
過剰な心理的ストレスから身を守るための
本能らしいのだけれど,
ときどきこのために避難が遅れてしまうという
結果になることがある.
だから災害時には,地域で声をかけあって
避難するタイミングが遅れないようにするなどの
工夫が必要だと言われている.

私はこの話を聞いて,なるほど,
この正常化バイアスというものは,
生きていくのに不可欠であると思った.
この「自分だけは大丈夫」と思いがちな偏向が
なければ,この悲惨なニュースにあふれた毎日を
とても過ごしていくことはできないだろうからである.

交通事故,病気,殺人事件など,
新聞紙上を騒がすニュースは,
どこかで他人事のような気がしている.
しかし,そうでなければ,
それをいちいち自分のものとして(家族のものとして)
真剣に受け止めてしまうのならば,
すぐに心が参ってしまうだろう.
確かにこの心理的な偏向がなければ,
生きていけないに違いないのである.

では,人間はつねにそうしたバイアスで
行動するかというと,その逆もある.
集団心理が働いて,過剰に反応し,
パニックに陥ることもあるのである.

ある時は反応が不足し,
ある時は過剰になる.
なんとも人間の心理状態は不安定なものである.
なにか効果的な安定化制御はあるのだろうか.

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