そんなこんなで毎日いろいろ起こるわけです...
さて,週末篠山のチルドレンミュージアムの
木陰の芝生の上で広げていた本が,
「ティファニーで朝食を」
言わずとしれたカポーティの名作である.
村上春樹の訳で読む.
いまさら読んでいるのかということなかれ.
最近小説を読み始めた私は,
周回遅れで他の人たちを追っているのだ.
逆にいえば,まだまだこうした作品を読んで,
ドキドキするチャンスが残されているともいえる.
そんな変な自慢はできる.
(いや,個人の読書量を上回る名作が
世界には山ほどあるのだけれど)
さて,「ティファニーで朝食を」といえば,
O.ヘップバーンの映画が有名なのだけれど,
幸か不幸か,私はそちらも未経験である.
ムーンリバーを窓にもたれて歌っている
ヘップバーンのシーンを見たことがあるけれど,
内容は全然知らなかった.
それが今回読んでみて,たいへんに楽しめた.
とにかくヒロインのホリー・ゴライトリーの魅力に尽きる.
天真爛漫というか,夢想家というか,
(一方で,人物には辛辣な批評をするけど)
とにかくはちゃめちゃな女の子で,
周囲の男はその無邪気な振る舞いに
いつのまにか無意識のうちに恋をしてしまう.
そして,彼女がいなくなって初めて
その喪失感の大きさを感じてしまう,
そんな素敵な女性として描かれている.
語り手である小説家のタマゴも,
思いっきり彼女に振り回されて,
そして淡い恋心を抱き,
少し心痛む別れを経験する.
そんな青春のほろ苦さがこの小説には描かれている.
この歳になってこうした小説を読むのも悪くない.
オジサンにとってみれば,ひとつのおとぎ話なのだ.
年老いた酒場の主人やホリーの夫も出てくるけれど,
哀れな彼らにこそ,自分を重ねてしまうところが出る.
これを若い頃に読んだらまた違った感想なのだろうけど.
映画は異なる結末なのだという.
また,カポーティはヘップバーンがホリーを演じたことで,
作品を台無しにされたと思っていたというけれど,
やはりそれでも観てみたい.
映画の方も周回遅れで
いろいろ観はじめようと思っているのである.
#作品中,名前の無い猫が出てくる.
村上春樹の名前の無い猫(あとで,いわしという名前になるが)は
この作品へのオマージュなのかも.
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