2008年7月18日金曜日

祇園祭といえば新選組

昨日は,祇園祭の山鉾巡行だったらしい.
研究室の留学生には,
日本の最も有名な祭りの一つだから,
ぜひ見に行ったらいいと薦めるわりに,
自分では一度も見に行ったことがない.
せっかく近くにいるというのに.
確かにあの人ごみの中へ出かけていくのは
ちょっと勇気がいるけれど,
いつかは必ず,と思っている.

そして,祇園祭の話を聞くと,
新選組の池田屋事件を思い出す.
数年前にNHKの大河ドラマで「新選組!」が
放映されているころに,
こちらに赴任してきた.
せっかく京都に近いのだからと,
その夏に池田屋跡を見に行った.
しかし,そこはパチンコ屋だった.
ただ石碑が立っているだけだった.
それを眺めていたのも私一人.
ちょっと寂しく感じたのを覚えている.

私はそんなこんなで結構新選組が好きなのである.
坂本龍馬信奉者は新選組を嫌う人が多いのだけれど,
私はどちらも好きである.
学生時代,私はそれはそれは小説など
読まなかったのだけれど,
博士課程1年の夏は珍しく
司馬遼太郎の小説を読んでいた.
「竜馬がゆく」である.

研究室の先輩は,
「燃えよ剣」を先に読むか,
「竜馬がゆく」を先に読むかで,
新選組派か龍馬派かが決まるなどと
話していたのを思い出す.
結局,私は「燃えよ剣」を先に読み,
それで新選組ファンになったのだった.
(「竜馬がゆく」で龍馬ファン,
正確には勝海舟ファンにもなったけれど)

なんといっても軍略家としての土方歳三に
魅力を感じた.
新選組は最強の暗殺集団だったのである.
もちろん彼らは天然理心流他の遣い手で,
個人個人のスキルも大変高かったと思われるが,
それ以上に,兵法の専門家でもあった.

たとえば,新選組の兵法にこんなものがある.
まず暗殺のターゲットを
ひとつだけ逃げ道を残して取り囲む.
次に,取り囲んだものたちは同じように
剣をつかって,(たとえば同じタイミングで
振り上げて,同じように袈裟に振り下ろす)
同時に相手に向かっていく.
するとターゲットはたまらず
残された逃げ道の方へ逃げ込もうとする.
その先にあらかじめ複数の新選組隊員を
配置しておくのである.
そしてターゲットを仕留める.

これは,逃げ道を断って仕掛けると,
相手が窮鼠猫をかむということになって,
必死で抗戦し,
隊員にも被害がでる可能性が高くなる.
そこで,わざと逃げさせて,
その逃げてスキが生まれたところを襲うのである.
たいへん理にかなった襲撃方法である.

このように新選組の戦略は
非常に合理的なものであったという.
その戦略を,元はしがない薬売りでしかなかった
土方が考案したものであるというところに
魅力を感じる.
太平の世を謳歌していた旗本ぐらいでは,
そのような兵法を思いつかなかったのではないだろうか.

彼は五稜郭にいたるまで,
剣士としてよりもむしろ兵法家として活躍する.
そして生粋の武士よりも
よほど武士であった土方は,
ひとつの私の憧れである.

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