この前のギリシャ出張では,
飛行機上にずいぶん長い時間いたので,
機内サービスの映画をずいぶんと観た.
合計7本かな.
最近は映画館にも足を運ばないし,
自宅でもDVDなどをほとんど観ないので,
エコノミークラスのつらい体勢ながらも,
たいへん楽しむことができた.
その中の1本に
"VANTAGE POINT"とタイトルがあり,
これがもうアメリカ映画そのものといった
感じだった.
ストーリーは,アメリカ大統領が
スペインで開かれる中東を含めた
平和サミットで演説途中に
狙撃されるという話である.
会場は爆破され,犯人は逃亡する.
観客はこの場面を8人の異なる視点から
繰り返し観ることになる.
SP,サミットの見物客,テロリスト...
視点を変えていくうちに,
事件の全貌が少しずつ明らかに
なっていくという趣向なのである.
正直,5回目位になると,
"また,始めからか..."などと思ってしまうが,
少しずつ謎解きがちりばめられているので
それなりに楽しめる.
内容は詳しくは明かせないが,
この映画で思ったのは,
いかにもアメリカの
典型的なストーリであるということ.
すなわち,一人の過去に傷を持った初老のSPが
(これがハードボイルド)
超人的な能力を発揮して事件を解決してしまう.
こうした設定は,クリント・イーストウッドの
映画によく見受けられるようなものだ.
そしていかにもアメリカ的なのは,
大統領が強い,ということ.
アメリカ国民が描く大統領の理想像というのは,
ずいぶんとヒーローであるらしい.
今回もテロリスト相手にひと立ち回りする.
このアメリカにおける大統領びいきというのは,
伝統的で,根強いものなのだろうかと思う.
一緒にみた,
"National Treasure: Book of Secret"
(ニコラス・ケイジ主演)
でも,大統領が出てくるのだけれども,
これがなんとも物分かりがよく,
ヒーローとして描かれているのだ.
そう考えると大統領がヒーローである映画は
結構ある.
「エア・フォース・ワン」でもそうだったし,
「インデペンデンス・デイ」なんかでは,
戦闘機に乗ってエイリアンと闘ったりなんかする.
強くなければ,アメリカ大統領には
なれないらしい.
ひるがえって,日本を見てみると
総理大臣がアクションを演じるなんて考えられない.
そもそも,そんなシチュエーションがないだろうし.
想像できるのは,だいたいが
自己の保身に右往左往するような総理大臣像である.
(あるいは腹芸に長けた政治家か)
日本人は総理大臣にヒーローを
求めていないようである.
(私は見ていないのだけれど,
キムタク主演の「Change」は
大臣がヒーローなのだろうか?)
逆に総理大臣が大暴れしたら,
日本は困るのだろうなぁ...
この"Vantage Point"
日本では,単館上映らしい.
DVDは発売されるらしいので,
興味のある人はどうぞ.
2008年7月1日火曜日
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