昨日,博士前期課程(修士課程)の学生と話していて,
講義内容が格段に難しくなっているという話を聞いた.
私も,それはそうだよね,という相槌を打っておいた.
全くそうなのである.
学部時代の勉強とは異なり,
大学院になると,それまでの勉強内容を基礎とした
応用の段階に進む.
例えば,制御などの話になっても,
線形代数の知識はあるものとして進む.
大学1,2年の頃の知識を忘れていると
ついていくのに苦労する.
私にも経験がある.
やはり大学院の講義内容のギャップというのは
非常に大きい.
それでも,ようやく実学を学んでいるという
実感も湧いてくる.
私も研究室に配属され,研究をするようになって初めて,
いろいろなことを実用的に勉強するようになった.
「実用的に」というのは,自分の研究に実際使う,
ということである.
例えば学部時代に勉強したベクトル解析の知識が,
実際の電磁界の解析において役に立つ.
そこで初めて意味を実感できた.
核融合のトカマク装置では,軸対称の座標系が
扱われるが,これが円筒座標系でも球座標系でもなく,
擬トロイダル座標系というもので,
デカルト座標ではない系での微分や積分に
ずいぶん苦労した.
ヤコビアンや計量テンソルなどを勉強しなおしたのも
この頃である(いまだにあまり自信はないけど).
しかし,実際に必要となって勉強すると,
ずいぶんとその身に付き方が異なる.
これが大学院に入ってからの勉強の醍醐味である.
だからといって,自分の研究に関係ない分野は
研究しなくてもよいかというと決してそうではない.
幅広い分野の知識は将来の自分のスキルのための蓄えである.
たとえ,微分を計算する際に
イプシロン-デルタ法を使用しなくても,
その意味を理解しておくことが教養であり,
それが大学教育の意味であると思う.
工学者として恥ずかしくない教養を身につけることが
大学院教育の目的ではないかと思う.
大阪大学の修士の学生はたいへん苦労しているようだけれど,
いつかはきっと役に立つ(かもしれない)ので,
決して手を抜かずに,頑張ってほしいと思う.
(講義だけでなく研究も頑張ってほしいけど)
2008年6月4日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
なにもかも手に入れた金持ちは武術の習得を目指す?
人生におけるほとんどの幸せはお金で買える。これは間違いの無い真理であり,私は全く同意する。 しかし,もしも自分がたいへんな金持ちになって,世界を救おうなどと考えず(笑),自分のためにそのお金を使うことができるようになったら,私は次に何をするだろう? なにもかも欲しいものが買える...
-
本ブログのコメントに, (電力)供給過多になるとなぜ、発電機の回転数が上がるのか というご質問をいただいたので, それについての回答を少し. (すみません,コメントいただいていたのに 気づくのが遅れました) 発電機の回転数は,個々の発電ユニットで見れば, 発電...
-
Googleをはじめとして, 検索ツールなしでは仕事ができない, というところまで現代の私たちは来てしまった. 特に研究分野においては, 過去の研究のサーベイ,現在の市場調査, 世界の装置のリストアップなど, もう検索ツールの便利さ無しでは, 考えられない状況である. こうした状...
-
私が担当している「電気機器」という講義においては,「磁気回路」,「 直流機 」,「 同期機 」,「 変圧器 」,「 誘導機 」を取り扱う.「磁気回路」は機器ではないので,残りの4つの電気機械について学生のみなさんは勉強することになる.さてここで,「直流機」,「同期機」,「誘導機」...
-
業界用語というものがある. それがいつの間にか広がって, 一般認識のもと使用されるようになった言葉も多い. たとえば,「トリ」という言葉. これは落語で最後に現れる芸人を言っていたものが, いつのまにか最後を締めくくる人全般に 用いられるようになった. あるいは,「ドタキャン」....
-
<自分の好き嫌いを書くことによって,自分の性格や思考について明らかにしていこうとする試みを続けています> 先日,子供たちの塾の先生と話していたのだけれど,子供の 「みんながやっているから」 「みんなそうしているよ」 という言い訳が大嫌いという意見で一致した. 実は...
0 件のコメント:
コメントを投稿