2008年6月30日月曜日

遺伝子の呪縛

人類で最も忌むべき伝染病は
遺伝である,と聞いたことがある.
まさにそのとおりと
最近自分の息子の姿を見て,
しみじみ思う.

やはり自分の子供なのである.
どこかが似ている.
風貌だけでなく,
しぐさや癖までが似てくるようだ.
気質にも似た部分を見つけると,
近親憎悪的な感情を持つことさえある.
自分が他人にこう見られているのかと思うと
ぞっとする.
自分もそうであるのに,
息子を怒るのもどうかとも思う.

なぜこうも似てしまうのだろうか.
生活習慣が同じだからなのかもしれない.
毎日同じようなものを食べて,
一緒に暮らしていれば,
似てしまうのもむべなるかな,と思う.
夫婦がお互いに似てくるというもの良く聞く話だし.
(この話をすると,うちの奥さんは
嫌な顔をするのだけれど)

しかし,私はやっぱり
遺伝的な要素が大きいのではないかと思う.
それは最近車のCMで,
ショーン・レノン氏が出演しているのを見て,
強くそう思った.
一目で,ジョン・レノンの息子だろうと
わかったからである.
(まぁ,彼が子供のころもTVに出演していたのを
見ていたけれど)

どうして,あんな風に似ているのだろう.
ショーンが幼いころに
ジョンは死んでしまったはずなのに.
だから私は遺伝子の強さを思うのである.
ショーンの身体の中でその遺伝子が発現して,
あのような姿かたちを取らせるのだろう.
しぐさ,癖などは父親にそっくりなのか,
ぜひオノさんに訊いてみたいものである.

振り返って自分の息子の将来を思うと
かわいそうで仕方がない.
こんな私に似なければいいのにと心から思う.
私もずいぶん幸せな人生を送ってきたけれど,
息子には,もっと違うような人生を送って欲しい.
私という人間の影響を離れて,
自由に生きていって欲しい.

遺伝子の呪縛を離れることは
一体可能なのだろうか...





#とはいえ,もうひとりのレノン氏の息子,
ジュリアンはそれほど父親に似ていないように思う.
遺伝子を強く引き継ぐものとそうでないものが
あるようだ.

2 件のコメント:

  1. おもしろいお話ですね。
    子どもを見ていると、自分がしたくてもできないもどかしさと同じ感情になることがあります。自分から治さないといけないのかな?
    それにしても遺伝子というのは強いものですね。
    そして、子供のほうも、将来、父親を嫌った時に(女の子ですから)、自分の中に父親を見つけて嫌悪するのかもしれません。

    でも、いつか、子供は親を超えていくんでしょうね。それを心から喜んであげたいものです。

    余談ですが、運動神経ゼロの私を、5歳の娘はすでに抜いていきました。水泳です。遺伝子の呪縛から離れた一例ではないでしょうか。

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  2. Asanoさん,コメント有難うございます.
    子供を見ている親の気持ちは複雑ですよね.
    私も娘がいますが,いつか父を嫌悪するのだと覚悟しています.

    子供が親を越えるほど,うれしいものはないのだと思います.うちの子供もそうなればいいのですが...

    返信削除

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